Translate

2019年8月31日土曜日

【報告】東京都調布市、8月30日(金)市民立法「チェルノブイリ法日本版」学習会「なかったことにはさせない!--福島原発事故の人権侵害」

2019年8月の市民立法「チェルノブイリ法日本版」学習会を、 8月30日(金)、「市民が育てるチェルノブイリ法日本版の会・調布」主催で、東京都調布市の「調布市市民プラザ あくろす」でやりました。


今回のテーマは、
 「 なかったことにはさせない!
  -福島原発事故の人権侵害を
  -理不尽だと抵抗するのが市民立法「チェルノブイリ法日本版

・その1
6月3日、福島県の「県民健康調査」検討委員会の評価部会は、福島県で多発中の小児甲状腺がんについて「被ばくによる小児甲状腺がんの発症」は「なかったことにする」報告書を作成、24日、検討委員会でも了承されまた(報告書。その問題点は->こちらで紹介)。
・その2
7月、参議院選挙直前の19日金曜日、住民の線量データを無断で使ったとして、昨年暮れ、住民から倫理違反、研究不正の調査申立があった宮崎早野論文、申立を受理した東大と福島県立医大は、放射能の影響を従来の見解より大胆に過少評価した同論文に「 倫理違反も研究不正もなかった」とした調査結果を公表(東大医大。その問題点は->こちらで紹介)。
いま次々と、人権侵害は「なかったことにする」報告が公表されています。

しかし、政府、福島県、東大、医大が「なかったことに」しようとしても、放射能は「なかったこと」にしてくれません。
政府、福島県、東大、医大が被害を忘れたがっても、放射能は忘れさせてくれません。
健康被害を「なかったことにする」政策は、現実に健康被害で苦しむ人たちにとって「理不尽」以外の何物でもありません。
この「なかったことにする」政策に対し、「理不尽です」と抵抗するのが市民立法「チェルノブイリ法日本版」です。
「命こそ宝」と思う人たちにとって、それはやむのことない正義のつぶやき、行動です。
この「なかったことはさせない!」について、学習し、語り合いました。

以下、当日の動画とプレゼン資料&レジメ&配布資料です。

動画
柳原敏夫の話(約2時間。ただし、ラスト1分40秒が欠〔※〕


〔※〕ラスト1分40秒の動画(内容が同一の、6月の静岡市の学習会のもの


参加者との質疑応答(約52分)



プレゼン資料(全文のPDFは->こちら) 
http://1am.sakura.ne.jp/Chernobyl/190830Chofu-presen.pdf
レジメ(PDFは->こちら
   市民立法「チェルノブイリ法日本版」実現のため、世界への接近の仕方                                   2019年8月30日
                                    柳原敏夫
1、雑念を払う。その時、真理が稲妻のように人々の心に届く 
雑念を払ってみた時、311以後の日本政府の正体は民主主義国家とは「あべこべ」の独裁国家ではないのか。天安門事件の中国政府の正体と同じように、犯罪者ではないのか。
雑念を払ってみた時、311以後の市民運動の姿は、かつての水爆禁止運動、公害運動、情報公開法の市民立法運動等にくらべ、未曾有の巨大過酷事故の現実に追いつかず、劣化が著しいのではないか。

2、「人間離れ」した世界を体感する試み。その時、未曾有の巨大過酷事故の現実に少しでも追いつく 
なぜ原発事故から目をそむけてしまうのか。単に怖いからではなく、放射能それ自体が「人間離れ」していて、非日常的世界の現象であるから。原発事故の現実と向かい合うための第一歩は、人間が体感(経験)できる対象として放射能を再発見する必要がある。その時、原発事故の途方もない現実に近づける。

3、願いを持つ。それも未曾有の巨大過酷事故に匹敵する願いを持つ。その時アクションに踏み出せる 
けれど、原発事故の途方もない現実は私たちが人類史の最終章の絶壁に立っているかのような気にさせる。その絶望の気持ちから、もう充分生きた自分だけだったらもういいと思うだろう。しかし、未来しかない幼い人たちは「それは身勝手だ。そして不条理だ」と思うだろう。その時、311以後露呈した不条理な「あべこべ」をただすためのありったっけの願いを総結集して、未曾有の巨大過酷事故に負けないだけの巨大な願いで取り組むしかない。それが絶望と巨大な願いを背負ったチェルノブイリ法日本版。

4「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」、それがチェルノブイリ法日本版
福島原発事故で私達は途方に暮れた。日本全土と近隣国を巻き込み、過去に経験したことのない未曾有の無差別過酷災害だから。ところが未曾有の事故にもかかわらず、従来の災害の発想(災害救助法等)で救助・支援が行われ、そして支援は打ち切られた。だが「新しい酒は新しい皮袋に盛れ」、これが私たちの立場。未曾有の無差別過酷事故には未曾有の無差別の救済が導入されるべし、それが健康被害が発生しようがしまいが事前の一律救済を定めた、原子力事故に関する世界最初の人権宣言=チェルノブイリ法。

5「子どもたちを被ばくのロシアンルーレットにさらさない」、それがチェルノブイリ法日本版
福島原発事故で私達は途方に暮れた。放射能は体温を0.0024度しか上げないエネルギーで人を即死させるのに、目に見えず、臭わず、痛くもなく、味もせず、従来の災害に対して行ったように、五感で防御するすべがないから。人間的スケールでは測れない、ミクロの世界での放射能の人体への作用=電離作用という損傷行為がどんな疾病をもたらすか、現在の科学・医学の水準では分からないから。危険というイエローカードが出せない。にもかかわらず、危険が検出されない以上「安全が確認された」という発想で対応し(3日の福島県の甲状腺検査評価部会)、その結果、人々の命、健康は脅かされた。「危険が検出されないだけでは足りない。安全が積極的に証明されない限り、人々の命を守る」、これが私たちの立場。人々の命を被ばくというロシアンルーレットから守る。なぜならロシアンルーレットが当たったら、損傷した命、健康を元に戻すことは不可能だから。それが予防原則、これを明文化したのがチェルノブイリ法。

6「苦悩という避難場所から脱け出し、真の避難場所に向かう」、それがチェルノブイリ法日本版
福島原発事故で私達は途方に暮れた。最初、人々は除染で放射能に勝てると教えられたが、それが無意味な試みと分かると口を閉ざしたから。避難できず、苦悩が人々の避難場所となった(2011.7「この哀しみ、この怒り、このいらだちをいつ、どこで、誰にどうぶっつけていいものやら」)。「苦悩という避難場所から脱け出し、真の避難場所に向かう」、これが私たちの立場。それが美しい謳い文句にとどまらず、現実に、安全な避難場所に避難する権利を保障したチェルノブイリ法。

7、「一人一人の市民の力で作る」、それが市民立法チェルノブイリ法日本版
原発事故の本質は戦争です。国難です。他の全ての課題に最優先して、その全面的救済を実現する必要がある。同時に歴史の教えるところは、戦争、国難において、国家はウソをつく、犯罪を犯す。そして国難において現場にどんな悲劇があっても、一人一人の市民がその生死をかけて立ち上がらなければ何も生まれない(田尻宗昭)。1997年に市民が作った対人地雷禁止条約も、1991年、2人の市民のアクションから始まった。それ以外にも、私達は公式の日本史には載らない以下の栄光の市民立法の歴史を持つ。
1872年 江藤新平らが、司法権の独立と民が官を裁く先進的な行政訴訟を作る。
1954年、杉並の主婦から始まった水爆禁止署名運動
1964年、三島・沼津の「石油コンビナート反対」の市民運動
      →政府を震撼させ、1967年、世界初の総合的な公害対策基本法を制定させた。
1969年、翌年、歴史的な公害国会(公害対策基本法の「調和条項」を削除)を引き出した東京都公害防止条例制定の市民運動
1995年、霞ヶ浦再生を、市民型公共事業として取り組んだアサザ・プロジェクト
1999年、市民主導で、1982年山形県金山町で条例制定の第1号、日本各地の条例制定の積み上げの中から制定を実現した情報公開法
これらの「希望の扉」の全てを叩き、開いて、市民主導で日本各地から条例制定を積み上げて法律を作るという、市民立法「チェルノブイリ法日本版」を実現し、3・11以後正義と不正義があべこべとなった事態をただし、平和を創る――それが3・11以後の私たちに残されていること。
以上が、2018年3月スタートした、市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会(略称「育てる会」)の市民運動。

8、さいごに 「一枚の白い紙」(1987年6月の韓国民主化闘争を描いた漫画「沸点」ラストより)

大切な一枚の白い紙を手に入れました。

苦痛を受けた者は苦痛が去ることを願い、
眠る場所さえない者は安らげる場所を求め、
差別を受けた者は平等な扱いを‥‥、

みんながそれぞれの夢を託していたけれど、

私たちが得たものは、まだ何も描かれていない、ただ一枚の白い紙でした。

乱暴に扱えばしわくちゃなゴミになってしまうし、
少し目を離しているあいだに、
誰かに落書きされてしまうかも知れない

でも
それがなくては夢見ることもできない、
破れやすいけれど大切な、

そんな白い紙なのです。
 
「市民が育てるチェルノブイリ法日本版の会・調布」通信
 →「チェルノブイリ・ふくしま・ちょうふ通信 1号 
 

2019年8月28日水曜日

【速報4】三重県伊勢市でスタートした「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求に寄せられたティルマン・ラフさんたちのメッセージ(2019.8.27)

 仮訳を正式な訳に改めました(2019.9.9)

本日、三重県伊勢市でスタートした「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求(その詳細は->こちら)に、ICAN※1)創設者の一人であるティルマン・ラフさんたちから賛同メッセージが寄せられましたので、紹介します。

※1)ICANは、世界で2番目に市民立法による条約(核兵器禁止条約)を成立させた市民団体で、2017年にノーベル平和賞を受賞しました。ティルマンさんのその記事->こちら

 このたびの賛同メッセージは、ティルマンさんが共同代表をつとめる、1985年にノーベル平和賞を受賞した核戦争防止国際医師会議(IPPNW)の4人の共同代表の方たちによるものです(敬称略。4人の紹介は->こちら)。
               
***************  
(訳)

IPPNWは日本政府に対し、日本の人々を許容できない放射線被ばくから守るため早急に措置をとるよう要請する
                                                2019
826
                                     核戦争防止国際医師会議(IPPNW


福島原発事故から8年以上経った今、1985年ノーベル平和賞受賞者である核戦争防止国際医師会議(以下、IPPNWと略称)は、日本の市民団体による一般公衆電離放射線許容線量限度を年間20ミリシーベルトから1ミリシーベルトに速やかに戻す要求を強く支持します。

IPPNWのリーダーは2011年4月29日の日本政府宛の書簡で、その数日前に行われた福島の子どもたちの放射線追加被ばく許容限度を年間1ミリシーベルトから20ミリシーベルトに引き上げる日本政府の決定に対し、以下のように憂慮の念を表明しました。
「医師として、私たちは、福島の子どもたちがそのような有害なレベルの放射能にさらされることを許容する日本政府の決定は、子どもたちと未来の世代に対する保護、管理の責任の放棄であり、到底容認できないものであると考えます。」

その数か月後の2011年8月22日、IPPNWの共同代表は当時の菅直人首相への書簡で以下のように要請しました。「一般公衆の医療外放射線追加被ばく許容限度を合計(すべての放射性核種の内部被ばく及び外部被ばく)で年間1ミリシーベルトに戻すべきです。これはとりわけ子どもと妊婦にとって重要であり、ただちに実行すべきです。」

「日本政府が4月に設定した、子どもと妊婦を含む一般公衆の年間20ミリシーベルトという放射線被ばく限度は、残念ながら、放射線による一般公衆の健康被害についてここ数十年の世界各国政府で最悪の許容意志であり、私たちはこのことを深く憂慮しています。私たちは医師として、このようなレベルの放射能が本来回避可能な許容できない健康リスクとなると訴える倫理的責任があります。」そう私たちは改めて表明しました。

事故から8年が経過し、日本政府が国民を守る責任を果たすために行うべきこれらの措置を今なお実行していないことは弁解の余地がありません。

2011年以降、CTスキャンを受けた子どもたちの大規模研究、自然放射線のレベルが異なる地域に住む子どもの小児白血病罹患率、原子力産業労働者の大規模な長期研究によって、数ミリシーベルトの低線量や年間1ミリシーベルトの低線量率で、以前に推定されたより大きな放射線による健康リスクが生じる強力な新しい証拠が得られました。また、これらの研究によって、幼児、女性及び女児は放射線に対し特に脆弱であることが確認され、女児の長期的ながんのリスクは同じ放射線被ばくで成人男性より8〜10倍高いことが確認されました。この証拠は、一般公衆の放射線被ばく許容限度を年1ミリシーベルトに戻し、日本の人々の健康と安全を守る緊急の必要性をさらに強固にするものです。

以上により、IPPNWは、年1ミリシーベルト基準に速やかに戻し、それを避難命令や放射能汚染地域への市民の帰還を含め、日本全体で一貫して適用することを要請いたします。


    核戦争防止国際医師会議(IPPNW) 共同代表
       ダニエル・エバッセイ      イラ・フェルファンド
       アラン・ミトラ                        ティルマン・ラフ

(原文)->PDF

Japanese government must take urgent action to protect Japanese people from unacceptable radiation exposure


August 26, 2019
by


Now more than eight years after the Fukushima nuclear disaster, IPPNW strongly supports the call by civil society organisations in Japan for the ionising radiation maximum permissible dose limit for members of the public to be promptly reduced from 20 to 1 mSv per year.

 IPPNW leaders wrote to the Japanese government on 29 April 2011 expressing concern about the government’s decision a few days earlier to increase the allowable additional exposure to ionising radiation for children in Fukushima from 1 to 20 mSv per year: “As physicians, we consider the decision to allow the children of Fukushima to be exposed to such injurious levels of radiation an unacceptable abrogation of the responsibility of care and custodianship for our children and future generations.”

A few months later, on 22 August 2011, IPPNW co-presidents wrote to then Prime Minister Naoto Kan, urging that: “The maximum acceptable additional non-medical radiation exposure limit for the general population should be returned to 1 mSv per year in total (i.e., including both internal and external exposures to all radioactive isotopes). This is especially important for children and pregnant women and should occur without delay.”

We reiterated then: “We remain profoundly concerned that the 20 mSv annual radiation dose limit for members of the public, including children and pregnant women, set by your government in April, unfortunately represents the greatest willingness to accept radiation-related health harm for the general population of any government around the world in recent decades. As physicians, we have an ethical responsibility to state that such a level is associated with unacceptable health risks where these can be avoided.”

 It is inexcusable that eight years later, these measures which need to be taken for the Japanese government to fulfil its responsibility to protect its citizens have still not been implemented.

Since 2011, powerful new evidence of radiation-related health risks greater than previously estimated at doses as low as a few mSv and dose rates as low as 1mSv per year has emerged from large studies of children having CT scans, rates of leukaemia in children living in areas with differing levels of background radiation, and large long-term studies of nuclear industry workers. These studies have also confirmed the particular vulnerability to radiation of young children, and women and girls, with long-term cancer risks for young girls being up to 8 to 10 times greater than for adult males for the same radiation exposure. This evidence has reinforced the urgency of protecting the health and safety of the people of Japan by returning the radiation dose limit for the public back to 1mSv.

IPPNW therefore urges prompt return to the 1 mSv/year standard, which should be applied consistently throughout Japan, including to evacuation orders and return of citizens to radioactively contaminated areas.



 原文の全文PDF->こちら

2019年8月16日金曜日

【速報3】三重県伊勢市でスタートした「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求に寄せられたノーム・チョムスキーのメッセージ(2019.8.15)

三重県伊勢市でスタートした「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求(その詳細は->こちら)に寄せられた、今年90歳の米国の人権活動家ノーム・チョムスキーからのメッセージを紹介します(参考:「ノーム・チョムスキー~ふくしまの声を聴く」)。 


From:     Noam Chomsky <chomsky@‥‥>

Will this help.

Noam
-----------

I understand that there are local initiatives calling for enactment of “the Chernobyl Law in Japan” in Ise City, Mie prefecture, the first city to take such a step.  These courageous citizen actions should encourage others to pursue the same course, reaching the national level.  It would be a most important contribution to bringing not only Japan, but the whole world, to understand and confront the grim threats posed by nuclear facilities and the urgent need to protect the health and safety of people who may be victims of their misuse.  These efforts merit strong local and international support

Noam Chomsky


(仮訳)

私は、「チェルノブイリ法日本版」の条例制定を求めて、最初に、三重県伊勢市が一歩を踏み出したことに共感します。
この勇気ある市民の行動は、今後、日本の各地で同様の条例制定を求める人々に大きな勇気を与え、国政レベルで法律の制定が実現することでしょう。
原子力施設がもたらす深刻な脅威を理解しこれと向き合う時、そして原子力施設の乱用により犠牲者になるかもしれない人々の健康と安全を守るため、今すぐ必要な対策を理解しこれと向き合う時、「チェルノブイリ法日本版」の条例制定を求める伊勢市の市民の行動は、日本国内だけでなく全世界にとっても、大変重要な意味があります。
伊勢市の皆さんの努力は、地元ばかりか国際的にも強力な支持を受けるに値するものなのです。

ノーム・チョムスキー

) 参考
*「ふくしま集団疎開裁判の会」のインタビューに答えて(2013.5.29)
福島のような大惨事を防ぐために解決しなくてはいけない、化石燃料、原子力、代替エネルギーや組織にまつわる問題が山済みであることは事実ですが、一部の問題はとても緊急を要するもので、他のいかなることよりも最優先されなくてはいけないことの第一は、 被ばくの深刻な脅威にさらされている数十万の子どもたちを救うことです。
この緊急の課題に対して解決策を見つけ、政府にそれをさせるためのプレッシャーを日本の市民の力でかけなくてはいけません。そして、その非常に重要な取組みに、私も支援できることを望んでいます。


*チョムスキーの政治的発言の日本語訳アーカイブ

*チョムスキーとメディア(YouTube)

*ハワード・ジンとの共同インタビューその他(デモクラシーナウ!2007.4.16

*「中心の崩壊~ラディカルな想像力の再考」(2010.5.31)

2019年8月2日金曜日

【速報2】三重県伊勢市でスタートした「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求の要旨と条例案(2019.8.2)

【速報+詳細】でお伝えした通り、
三重県伊勢市で、市民団体「ふくしまいせしまの会」が「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求の署名活動を7月31日からスタートしました。
以下は、「ふくしまいせしまの会」が作成した今回の直接請求の要旨と条例案(条例の名称は「原発事故に伴う放射能災害から伊勢市民を守るための条例」)です。

1、「原発事故に伴う放射能災害から伊勢市民を守るための条例」)制定への要旨


2、 「原発事故に伴う放射能災害から伊勢市民を守るための条例」案







2019年8月1日木曜日

【速報+詳細】三重県伊勢市で、「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求の署名活動が7月31日からスタート(2019.8.1~7)

フランス、オーストラリア、ドイツ、カナダ、アメリカなど国外からも賛同メッセージが寄せられています(->以下の◆1や末尾のコメント欄)。
沖縄から長文の賛同メッセージが寄せられました(->以下の◆1)。
直接請求の要旨と条例案をアップしました->こちら
毎日16~17時、伊勢市駅前で、パラソルと机を出し、一般向けに署名集めをやっています(->以下の◆3)→8月1日の中日新聞の記事(->以下の◆4)になりました。
末尾とその下のコメント欄に、直接請求アクションに対する国内外の皆さんから寄せられた声を載せました(->以下の◆1)。
7月30日、伊勢市長から請求代表者証明書が出たあとに行った記者会見が翌日、中日新聞の記事(->以下の◆2)になりました。
        *********************

2017年5月、私たち市民の手で「チェルノブイリ法日本版」条例を作ってみませんかと、条例の市民立法を呼びかけた市民がいました。
伊勢神宮で知られる三重県伊勢市(下の地図の赤い地点)。その伊勢市の保養団体「ふくしまいせしまの会」を主宰する上野正美さんです(市民立法の始まり--一人の声から始まる。その呼びかけ文->こちら)。


それから2年余り、この間、仲間と 「チェルノブイリ法日本版」伊勢市条例の制定に向けて草の根で準備を重ねてきました(以下は2019年2月6日の記者会見)。


 先月22日、その準備が整い、いよいよ直接請求)に向けて、具体的なアクションとして最初の一歩(請求代表者証明書交付の申請)を踏み出し、この申請に対し30日、市長から決済がおりました。
その結果、昨日31日から今月30日までの1ヶ月間、伊勢市の有権者の50分の1(2500名)の署名を集めるための直接請求のクライマックスともいうべき第2のアクション(署名の収集)に踏み出します。

)直接請求
第二次世界大戦のあとの日本の民主化の一環として、職業的政治家である首長や議員による代表民主主義の形骸化、限界(民意をめぐる住民と政治家とのズレ、齟齬)を埋めることを期待されて導入された住民による直接統治方式。
その1つである「条例の直接請求」とは、住民が有権者の50分の1の署名を集め、条例の制定(または改廃)を市長に請求できる制度のこと。
直接請求の条例案が議会で可決され、原発建設の是非を問う住民投票が実施された例は過去に3例(新潟県巻町、新潟県刈羽村、三重県海山町(現紀北町))あり、いずれも反対多数で建設は実現しなかった。

過去に、日本の市民運動は各地で、住民自身にとって最も身近で大切な問題、命、健康、環境その他の問題の解決のため、自ら行動を起こしてきた歴史があります。原発建設や産業廃棄物処理施設建設の是非をめぐる問題などでおこなった直接請求です。
けれど、原発事故が起きた後の救済を求める直接請求は今回が初めてです。日本史上なかった未曾有の事故である原発事故が起こってしまった以上、この「新しい酒には新しい皮袋」が必要です。その1つが、今回の直接請求による 「チェルノブイリ法日本版」伊勢市条例の制定です。

詳細はこのあと、以下にアップします。
◆4 7月31日から毎日16~17時に伊勢市駅前でふくしまいせしまの会」がやっている、 一般向けの署名集めの取り組みが記事になりました(中日新聞8月1日)



3 毎日16~17時、JR&近鉄の伊勢市駅前(外宮側)で、パラソルと机を出し、一般向けに署名集めをやっています。ぜひ、お立ち寄り下さい。
                   JR駅舎(南口・外宮側)(ウィキペディアより)

◆2 7月30日、伊勢市長から請求代表者証明書が出たあと「ふくしまいせしまの会」が行った記者会見を報道する記事(中日新聞7月31日)

昨日から始まったアクションは「大草原の中の小さな家、それも家の棟上げ」みたいなものかもしれません、
けれど、311のあとにやるべきことは何か、それを自ら明確に示した今回の市民自身のアクションは「市民が自らの運命を決める行動」として貴重な一歩です。
これから伊勢市でスタートする「2500名以上の署名集め」、これに注視下さい。
そして、このアクションに対する皆様の賛同、注目をお願いします(よろしかったら、末尾のコメントに賛同メッセージをお寄せ下さい)。書き込みがうまくいかない方は->tonke*song-deborah.com(*を@に変換)までメッセージの送信をお願いします。

) 参考資料:「チェルノブイリ法日本版」伊勢市条例案(柳原案)

◆1 皆さんからの声(2019.8.12現在)(敬称略)

ポール・マッカーティン(神奈川県)
賛同します。 
長谷川澄(カナダ・モントリオール)
アジアの国々を含め、世界が原発はもう使えないものだと分かり始めている時に、大事故を起こした日本が、何をしているのだろうといつも思います。その中で、皆さんが粘り強く運動を続けていることに敬意を表します。
福島でも、チェルノブイリ法日本版制定のための会ができたと聞いた時、やっとそこまで来たのか、すごいなと感じました。今回、伊勢市で、条例の制定を目指す直接請求の署名がはじまったことを知り、また階段を一段上ったと思いました。心から応援しています。

わしお とよ(ドイツ、メアブッシュ)
賛同します!このような動きが出てきて非常に励まされています。日本という保守社会の中で動くというのは実にしんどいことだと思います。であるからこそ尊敬に値します!私も2012年からドイツでささやかな脱原発運動に参加していますが日本人の多い街にいても、おおかたの人は企業がらみで政治的活動に参加する人は、したくてもできない、から始まって、無関心に終わります。おそらくは日本社会の縮図みたいなものでしょうか。企業がらみでない日本人は賛同して下さいます。成功を祈っています!

北原久嗣(大学教員・東京都国立市)
直接請求は署名活動期間中、まちのいろいろなところで、いろいろな考えをもった人々が話し合うことを可能にします。ひとりひとりの言葉がつながり考え行動する動きが広がることを願っています。

南さや(オーストラリア->Facebookの賛同メッセージ
私は「チェルノブイリ法日本版」伊勢市条例の制定に心から賛同します。
今を生きる日本の家族・子供たちを守るために一刻も早い制定を希望します。

神田香織(講談師) 
「ふくしまいせしまの会」の皆様、今年も保養に取り組んでくださりありがとうございます。
「チェルノブイリ法日本版」条例制定をめざす直接請求アクション、大変心強く嬉しい限りです。
日本中の各地でも取り組んで一日もはやい「チェルノブイリ法日本版」の成立を願ってやみません。

鈴木英敏(取手市)
学ぶだけ、意見表明をするだけの一市民の私にとって、「ふくしまいせしまの会」の皆様が署名集めを開始したとのニュースは、大きな“衝撃”でした。誰もが持つはずの「放射能災害から守られるべき」との思いを、条例という行政の補償制度として結実させようとする本気さとエネルギーの凄まじさは、伊勢市民に限らず私を含めた多くの人々に民主主義の意味を問い、主権者としての目を醒まさせ、日本中に政治参加の新しい地平をも拓くものとなるに違いないからです。
避難先がどこも他の原発の事故災害危険地域たり得るという皮肉な状況下で、最低限のセイフティネットを用意しておくことは生きて行くための最低限の要件だと思います。
炎天下で奮闘しておられる皆様に、心から敬意を表しますとともに、小声ですがエールを送らせて頂きます。

矢ヶ崎克馬(沖縄つなごう命の会)
原発事故での移住の権利の条例の制定、是非成功させてください。
私たちは沖縄県に陳情して福島県原発事故避難者への支援の継続を沖縄県独自の施策として実施していただいております(2019年度としては全国で唯一の都道府県)。しかし単なる予算措置としては限界があります。福島県以外からの避難者への支援は獲得できておりません。また、沖縄県内の 住民の被曝防止(特に内部被曝防止)策が実施できていません。沖縄県でも2011年以降死亡率が増大しております。厚労省人口動態調査の分析からは全国で30万人になんなんとする人が被曝によると判断できる犠牲者になっています。
政府の姿勢を変えなけれなりませんが、地方自治体の住民直接請求の条例の制定は貴重です。是非成功させてください。
願わくは、住民の被曝、特に内部被曝の防止を図ることを明示する条例を制定してください。

纐纈 美千世(埼玉県)
 このたび始められたアクションに賛同します。

岡田俊子(さいたま市)
各地でチェルノブイリ法日本版の条例制定に取り組んでいる方達、取り組もうと考えている方達の目標と励みにある行動に賛同と感謝の意を表します。
日本全国どこで起きるかわからない原発事故から未来ある子ども達を守り、私達の生活を守る為に共に力を合わせ、支え合いながら頑張っていきましょう。

郷田みほ(郡山市)
市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」制定直接請求の署名行動の実現、心から敬意を表します。
「ふくしまいせしまの会」のみなさま力をいただき、私たちも実現に向けて頑張るぞ!というエネルギー源にします。

三宅征子(調布市)
市民が育てるチェルノブイリ法日本版制定の先陣を切られたことに、心から敬意を表します。私達も後に続けるよう頑張りたいと思います。

沢田昭二(愛知県)
「チェルノブイリ法日本版」条例の制定をめざす直接請求の署名運動に広島の被爆者としてまた物理学者として賛同・共感します。

笠原 一浩(弁護士、大飯原発差止訴訟・福井弁護団事務局長、緑の党・北陸地域代表)
3.11後、超党派で子ども・被災者支援法が成立し、福島原発事故の被害者をはじめとする多くの人々が、これが「日本版チェルノブイリ法」になるものと期待しました。
ところが、とりわけ自民党政権になってからというもの、法律の具体化はほぼ全面ストップし、あたかも3.11がなかったかのように、経済的合理性すら無視して原発再稼働に邁進しています。
そうした中、日本文明発祥の地のひとつである伊勢市にて、「チェルノブイリ法日本版」条例が制定されようとしているのは、被害回復・再発防止の双方にとって大きな意味があると思います。
伊勢市長は私とも親しくさせて頂いており、また脱原発首長のリーダーの一人です。この条例の成立を心から期待します。

コリン・コバヤシ(フランス)
賛同します。

【お知らせ】ニュースレター第10号の発行(2024.12.8)

   市民が育てるチェルノブイリ法日本版の会では、全国各地の会員の日々の取り組み、活動を随時、ニュースレターにして発行、賛助会員その他支援者の皆さんに配布しています。 これまでのニュースレター      第1号 -> こちら      第2号 -> こちら      第3号 ->...