2021年12月30日木曜日

【お知らせ】「国家の加害責任」に関するQ & Aを追加しました。

Q1: チェルノブイリ法について、事故5年後の1991年に「国家の加害責任」を明記し、生存権を保障した放射能被害に関する、世界で初めての人権法という説明をしています(2021年12月18日の投稿 Q6を参照)。 チェルノブィリ法で、「国家の加害責任」を明記しているというのは本当ですか?

 

民事裁判の大半の事件は損害賠償訴訟と言われるものです。これは加害者の法的責任を2つの面から追求していきます。1つが侵害論。もう1つが損害論。

侵害論とは被害者を侵害した行為に対して、加害者は加害責任を負うか否かを問うものです。

損害論とは、加害者に侵害の責任が認められた場合、次に、その侵害行為によって、被害者がどこまで被害を被ったかを問うものです。一般には、侵害行為と因果関係が認められる被害に対して、加害者は賠償する責任があるとされます。これを賠償責任といいます。

この民事裁判の考え方、つまり侵害論における加害責任に対応した日本版の用語が「加害責任」損害論における賠償責任に対応した日本版の用語が「補償責任」

この両者を合わせて、法的責任と呼びます。つまり、法的責任を問う場合、「加害責任」と「補償責任」はコインの表と裏みたいな表裏一体の関係にあり、一方だけが存在するものではありません。

だから、法的責任が問われる場面で、仮に「加害責任」を認めたら、それは同時に「補償責任」も認めることを意味し、反対に、仮に「補償責任」を認めたら、それは同時に「加害責任」も認めることを意味します。それが法的責任の原則です。もしそれが社会的責任とか道義的責任だったら、その現象の発生に対して、国家が遺憾の意を表明するとか謝罪するとかで一件落着する場合があります。しかし、法的責任の場合、その現象によって引き起こされた人々の被害を救済することまでが当然の前提にされています。以上から、法的責任を問題とする場合に、加害責任の面から取り上げようが、補償責任の面から取り上げようが、その具体的な中身は変わりません。ひとたび加害責任を負うことを認める以上、その事故から引き起こされる被害について救済する法的責任を負うことを意味するからです。

以上のとおりですから、チェルノブイリ法中に(13条)*、被害を補償する責任は「国家」にあると明記されているというのは、国が法的責任を負うということでして、国が法的責任を負うということは同時に、事故を発生させたことに対しても法的責任を負っていることを認めたことを意味します。市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会では、このことを指して「加害責任を負う」と表現しています。

 

チェルノブイリ大惨事の被災者市民の地位および社会的保護に関する法律

 第13条 チェルノブイリ大惨事によって被った市民の損害に対する国家の義務

国家は,市民の被った被害に対する責任を負い,次の場合に市民に対して補償しなければならない〔96.6.6 付法律 N 編集の第13条1項1号〕。 

1) チェルノブイリ大惨事の被災市民およびその子どもの健康被害および労働能力の喪失2) チェルノブイリ大惨事に関連した扶養者の死亡3) 市民およびその家族が,本法律およびその他のウクライナの法的アクトに定めるチェルノブイリ大惨事に関連して被った物的損害 

国家は,チェルノブイリ原発事故のリクビダートルおよびチェルノブイリ大惨事の被災者に対して,現代的な(最新の)医療検査,治療および被曝線量の測定(判定)を行う義務を負う。〔96.6.6 付法律 N 編集の第13条2項〕


Q2: 将来できる予定の市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」には,チェルノブィリ法にならって国家の加害責任を書くべきだと考えていますか?

 はい。【チェルノブイリ法日本版】伊勢市条例(柳原案バージョン2)の前文で、「国家の加害責任」について、明記しています。

 

2021年12月18日土曜日

【寄稿】矢ヶ﨑克馬氏 (琉球大学名誉教授・市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会 正会員)から、「チェルノブイリ法日本版」Q&A「特別版」をいただきました。 

Q:避難の権利とは何ですか?

A:法律で定められた線量(年間1mSv)以上の汚染地域で放射線被曝を回避するために避難(被曝防止の直接的対応)の権利を社会が認めることです。国及び自治体が避難先の選定の補助を行い、避難の費用や生活維持を保障することです。

 

Q:何故権利が生じるのですか?

A:憲法でなんびとも健康で文化的な生活を営むことが保障されています。

第二十五条

すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

とりわけ原発事故は国及び原子力産業によって引き起こされるものであり、住民への迷惑行為の補償は国及び産業が全て負担すべきです。加えて、被曝限度が日本の法律(国の住民に対する約束事)で定められています(被曝限度は年間1Sv) ので、それ以上の汚染を住民に与えた場合は、国は避難の権利を保障しなければなりません。

  

Q:子どもの保護はどのようにして達成しますか?

 A:年間1mSvを被曝限度量として避難の権利を認めることがまず大切です。国、自治体、学校と親が連携することが肝要です。学校単位での集団疎開などを具体化氏、子どもの被曝を軽減することが大切です。

 

Q:日本市民の被曝線量限度はどのように定められているのですか?

A:原子力基本法以下の法律に於いて、原子力関連事業はいくつかの放射能管理の条件を義務づけられています。区域区分の概要は次のようなものです。

 

1)管理区域 管理区域は多大な被曝を与える恐れのある区域で業務上の関係者以外の一般の人が立ち入ることが禁止されています。①外部被曝の場合は「放射線管理区域」、②内部被曝の場合は「汚染管理区域」と呼ばれます。 

2)周辺監視区域 管理区域の周辺の事業所敷地内の区域で、年間1mSv以上の恐れのある区域です。

3)周辺監視区域外 周辺監視区域外のいかなる地域も年間1mSvの線量限度を超えてはならないことが規定されています。

 

 上記の様に周辺監視区域外での線量限度が定められています。従って避難の権利が生じるのは「線量限度以上の汚染がもたらされた」という条件であると考えられます。

 

Q:年間1mSvは外部被曝ですか?内部被曝ですか?それとも両方含むのですか?

A:管理区域の条件に外部被曝も内部被曝もあり、現実には両者合わせての線量限度が定められています。従って法律的概念は「内部被曝+外部被曝」の値が年間1mSvであると解釈するのが正解です。チェルノブイリの放射線区分では内部被曝と外部被曝の合計が用いられましたが、不当なことですが、日本では外部被曝のみの値で放射能汚染区分がなされました。

  

Q:東電福島第一原発事故の場合、法律に基づいた施策が取られたのですか?

A:法律の日本市民に対する線量限度は1mSvと規定されているのですが、時の政府は法律には全く取り入れられていない「年間20mSv」で規制致しました。関連してその他、原発事故の際の住民避難の補助として作成された「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム(SPEEDI)が公表されませんでした。また、緊急時住民除染基準が福島県によって勝手に引き上げられました。さらに、事故前の「原子力災害予防訓練」では必須と位置づけられていた「安定ヨウ素剤」が不配布となりました(東電関係者や福島医科大学の関係者全員には配布されました)。原子力災害特別措置法では対策現地本部が設けられることになっており、構成員として原発立地町が位置づけられていましたが、事故後の対策では除外されていました。

 

Q:年間20mSvはどのようにして決定されたのですか?

A:原子力災害特別措置法に基づいて「原子力緊急事態宣言」が発せられました。そこでは「原子力災害対策本部」が設置されその議を経て諸決定が成されることになっています。しかしながら実際には、線量限度の明確な決定・国民に対する周知も無く、適用範囲も定めること無く、行政文書の文科省の「福島県教育委員会等宛の通知「福島県内の学校の校舎・校庭等の利用判断における暫定的考え方について(通知)」として20mSvが通知されました。正式な決定の議が成されていません。この通知文章には日本の法律(1Sv被曝限度)のことは全く触れられず、法律には盛り込まれていない「国際放射線防護委員会」の引用のみが記述されています。

 

Q:国際原子力・放射線事象評価尺度(INES)で、東電事故と同じくレベル7に位置づけられたチェルノブイリ原発事故(1986)があります。ここでは事故後5年にして発布されたチェルノブイリ法がありますが、日本の対処方法はどこが違うのですか?

A:チェルノブイリ法と呼ばれるのは二つの法律から成ります。一つは「憲法で保障された人権」をどう守るか?という内容の保護の具体化を図る法律と、もう一つは放射能汚染区分の詳細な位置づけです。汚染区分は内部被曝と外部被曝の合算である吸収線量の外にセシウム137汚染とプルトニウム汚染の初期汚染量による3つの区分基準によります。吸収線量だけで言及すると、年間1mSvで移住の権利、5mSvで移住義務となります。チェルノブイリ法では年間1mSv以上の汚染で「移住の権利」が明記されますが、日本では一切「住民の権利」という概念の無い「統治」でした。チェルノブイリ法は生活の維持も含めて長期の生存権保障となっていますが、日本ではチェルノブイリ法が成立した事故後5年目で、早くも避難区域の縮小が始まりました。短期で「指定区域外避難者」への支援は停止されました。ちなみに日本では通称「子ども被災者支援法」が作られましたが、この法律では「被曝を 避ける権利」「生活権」などの概念は無く、その上、この法律が適用される被曝限度を特定せず「一定基準」とし、支援内容も「基本方針」を向後作成して具体化することにし、法律としては具体化しませんでした。加えて引き継いだ自公政府が「一定基準」を「相当な線量」に置き換え、法の精神を換骨奪胎しました。

 

Q:東電原発事故では放射線防護について真実が語られましたか?

A:放射線被曝に関しては放影研「寿命調査第14報」では長年の被爆者調査から事実として放射能の影響の出る「しきい値」はゼロであると報告しています。即ち低線量でも統計的に有意な健康影響(がんその他)が生じることを調査結果として発表しました。放射能被曝は可能な限り避けることが第一原則です。しかしながら事故後では真実は語られ図、逆に内部被曝を勧めるものでした。例えば、①山下俊一氏(福島県放射線健康リスク管理アドバイザー)は「放射線の影響は、実はニコニコ笑っている人にはきません。くよくよしている人にきます。これは明確な動物実験で分かっています」(いわき市、福島市講演会)、「100ミリシーベルト以下では明らかな発がんリスクは起こりません」、「風評被害が福島の人が晒されている最大の危険」(二本松市講演会)等と被曝を避けることを語らずに明らかな虚言を弄しています。

 

Q:メルトダウンの原因は正しく解明されましたか?

A:メルトダウンの原因は地震動が直接的な原因では無く、「津波の襲来」による電源喪失であるとされています。しかしながら福一1号機では地震動により炉心の冷却水循環モニターの細管が破断して地震後130秒(津波の到来は51分後)で冷却水の自然循環が止まったことが報告されています。自然循環が止まると冷却能力が停止し、メルトダウンの原因となります。地震大国の日本での原発稼働はきわめて危険であることになります。再稼働などとんでもないことになります。メルトダウンの最大原因が隠蔽されている可能性が大なのです。日本市民の事実を正しく知る権利が脅かされているのです。

 

Q:食品の放射能汚染からは日本市民は守られたのでしょうか?

A:食品の放射能基準は「100Bq/kg」と設定されました。そして、「100Bq/kgは安全である」と大宣伝されました。しかし、放射能は被曝しないことが第一原則です。健康の保護を第一と考えるのならば、正しくは次のように言うべきです:「放射能に汚染された食品は食しないことが第一です。しかし、流通上ヤムを得なく市場に出すことに致しますが、リスクが伴います。免疫力の低下した方などは場合によっては命を落とすこともあり得ます。どうかそのことを良く御承知の上、覚悟してお食べ下さい」と説明しなければなりません。日本政府は日本市民に内部被曝を強制するキャンペーンを張ったのです。

 

Q:『食べて応援』、『風評被害払拭』は何だったのでしょう?

A:チェルノブイリでは「移住義務」である5mSv以上の汚染地帯に日本では100万人以上の方が、住み続けることとなりました。そして米野菜を生産して売らなければ「喰っていけない」状況に追い込まれました。汚染地で生産される食材を「被曝承知」で全国の消費者に食べてもらわなければならない関係を政府は作りました。そこで、「食べて応援」、「風評被害払拭」をキャンペーンしました。放射能以外の健康被害因子の場合は率直に「感染防止」「危険原因の除去」等々を必ず真っ先に致します。しかし放射能の場合は他のあらゆる場合の対処方針とは180度異なり、「食べて応援(放射線被曝を呼びかける)」ことをしました。反面、人々が自身の健康を守るために食材の選択は当然で、食品の選択の自由は人格権の中枢部分を占めます。しかし、汚染食材を市民に食させるために政府は食品選択の権利を攻撃し、「風評被害」だとしたのです。このように日本では23重に悪政の連鎖があったのです。

 

【お知らせ】市民立法「チェルノブイリ法日本版」 Q &A

Q1: 日本版の条例をつくる目的は何ですか?

A:   原発事故・放射能災害から市民の命と健康及び暮らしを守り、「移住の権利」や「避難の権利」と「健康に暮らす権利」を保障させることです。

 

 

Q2: 日本版の特徴は何ですか?

A:  チェルブイリ原発事故のあとに作られたチェルノブイリ法をお手本にしています。本来の法令限度(1ミリシーベルト)を守る形で、市民の命、健康、暮らしを守ることを「市民の人権」として具体的に保障する法律です。

 

 

Q3: 条例はどうやって制定させるんですか?

A:   条例案を議会に提出し、審議し、可決したら、首長(知事や市長)が公布して、制定となります。条例を提出できるのは、次の3者:①首長②議会自身(議員か委員会)③市民(「直接求」か「請願」による)。直接請求は、法律に従って集めた有権者の50分の1以上の署名をつけて提出し首長が意見を付して議会に提案します。請願は、紹介議員は必須ですが一人でも提出できますし、自由に集めた署名をつけてもかまいません。どちらも議会は可否を決しなければなりません。

 

 

Q4: 市民立法とは何ですか?

A:  全国の自治体でチェルノブイリ法日本版を制定させて、その積み重ねによって国会で同法を制定させる。このすべての過程を、主権者である私たち市民が主導して行うことが「市民立法」です。つまり「チェルノブイリ法日本版は、私が作りました」と市民の誰もが胸を張って言える歴史を創ろうとするアクションのことです。

 

 

Q5: 子ども被災者支援法との違いは何ですか?

A:  子ども被災者支援法は、原発事故の被災者の生活を守り支える法律して議員立法により2012年成立。基本理念で、居住・移住・帰還いずれの選択でも支援し、健康不安の解消に努めるとしました。けれども理念のみが書かれ、具体的な政策の決定を行政府に委ねる法律のため、役人によって日の目を見ないまま廃止同然となりました。同法には被災者の権利が一言も書かれていないという致命的欠陥があったのです。これに対し、チェルノブイリ法日本版は、明確な権利をうたい、具体的施策を定め、かつ市民立法によって制定します。

 

 

Q6: チェルノブイリ法とは何ですか?

A: 19864月チェルノブイリ原発が事故を起こし、膨大な量の放射性物質が放出され広い地域が汚染されました。5年後ビクリダートル(収束作業員)や被害を被った住民が、権利擁護を求める運動をし、事故5年後の1991年に「国家の加害責任」を明記し、生存権を保障した放射能被害に関する、世界で初めての人権法。追加被ばく量1ミリシーベルトを基準に移住・避難・保養・医療等が保障された法律です。

 

 

7: 福島では原発事故後、子ども達の甲状腺がん患者は増えていますか?

A: 通常100万人に1人か2人と言われていますが、福島県が行ってきた「県民健康調査」では20217月発表時点で260人、それ以外のがん登録を含めると287人で、福島県では1万人に6人が手術を受けています。他に今後の状況を注意深く見守る必要のある経過観察の人は5000人近くいます。(事故当時18歳未満)

 

 

Q8: 放射線の単位で㏜(シーベルト)と㏃(ベクレル)の違いは何ですか?

A:   ㏜(シーベルト)とは 人が受ける被ばく線量の単位。放射線を受けた人体にどのような影響が表れるか、放射線の種類の違いなどによって異なります。㏃(ベクレル)とは放射能の量を表す単位。放射能の単位で、放射線を出す側に着目したものです。土や食品、水道水に含まれる放射性物質の量を表すときに使います。

 


2021年11月22日月曜日

【報告】11.20オンライン・イベント★避難者と語る「今欲しい チェルノブイリ法日本版」★ が開催されました。

2021年11月20日(土)に、避難者と語る「今欲しい チェルノブイリ法日本版」 が開催されました。

40人を超える参加がありました。ありがとうございました。
以下、その報告です。

◆◆動画編◆◆

第1部

1、柳原敏夫(弁護士/日本版・共同代表)からの挨拶
2、福島原発事故による避難者の皆さんからの話(日本版の正会員メンバー)

 

第2部 

 参加者による意見交換



◆◆資料編◆◆

1、柳原が使用した以下のプレゼン資料は(全文のPDF->こちら

2、当日、時間不足のため、紹介しなかった「人権の発見」についての柳原作成のプレゼン資料(全文のPDF->こちら)。
いままで「人権の尊重」などと口にしていながら、「いかにして人権を尊重するのか」その尊重の仕方については、ボーとしていただけで、殆ど何も考えてこなかった。この点を改め、初めて、人権の存在のあり方について、次の疑問から考えたことを記したもの。

恋人を愛する時、その恋人は目の前に実在するものとして、目に見え、触れることもできる。
だが、これまで、
人権を見た人は誰もいない。
手で触れた人も誰もいない。
人権は恋人のように存在するものではない。
だとしたら、そのようなものを人はどのようにして愛することができるのか。どのようにして大切にすることができるのか。

ただし、後半の以下が未完で、準備中。→不完全ながらひとまず完成。
そのような存在のあり方をする「人権」に対し、私たちは直接あるいは直ちに「人権」を発見することはできないのではないか、その「発見」に至る道は、人権の反対命題である「人権侵害」の発見を通じてしかないのではないか。それは過去の「人権の発見」の歴史的経験から導かれる。

そのほかについては準備中。

2021年10月23日土曜日

【お知らせ】11.20オンラインイベント★避難者と語る「今欲しい チェルノブイリ法日本版」★

福島原発事故は収束したとか、終わったけど忘れないとかいった話がされますが、そうでしょうか。

今年7月、広島原爆の「黒い雨」を巡る訴訟で原告が勝訴しました。
そのあと手帳交付を求めて沢山の高齢者が申請に殺到しました(日経新聞の記事->こちら)。
この人々は黒い雨の被ばくから76年もの間、被ばくによる健康被害にずっと苦しんできた方々です。
そして、この人たちの姿は明日の、未来の福島の姿です。
さらには、今後いつか発生するであろう原発事故の被災地の姿でもあります。
そのとき、福島や原発事故の被災地の人々も76年経たなければ、自分たちがこうむる健康被害の救済は受けられないのでしょうか。
否、「黒い雨」訴訟で被害者が救済された以上、同様に、福島や原発事故の被災地の人々も直ちに健康被害の救済を受けられるべきではないでしょうか。

この救済を実現するのがチェルノブイリ法日本版です。
なおかつ、チェルノブイリ法日本版は一定の被ばくの事実さえ認められれば、健康被害を発症する前から予防原則の立場から救済するものです。

今回のイベントは福島原発事故により避難なさった3人の方々に、このチェルノブイリ法日本版への思いなどをお話して頂き、
皆さまからのご質問や意見交換をさせて頂きたいと思います。

多くの方々の参加をお待ち申しております。
 
   ********************

避難者と語る「今欲しい チェルノブイリ法日本版」
  主催:市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会
  日時:11月20日(土) 13:30~15:30

柳原敏夫(弁護士/日本版・共同代表)から挨拶
福島原発事故による避難者の皆さんからの話
             (日本版の正会員メンバー)
   柴田政典さん(東京から沖縄・那覇市へ避難)
   松本徳子さん(福島から神奈川・川崎市へ避難)
   安達和叶さん(福島から北海道・札幌市へ避難)
御質問と意見交換の集い (14:30~15:30 延長あり)

参加のやり方
当日は下記のリンクからお入り下さい。(入室開始13時15分 ミュート設定にてお願いします)
Topic: 11.20・避難者と語る「今欲しい チェルノブイリ法日本版」
Time: Nov 20, 2021 03:30 PM Canberra, Melbourne, Sydney
Join from PC, Mac, iOS or Android: https://unimelb.zoom.us/j/85891300287...
Meeting ID: 85891300287 | Password: 617827

尚、ご参加を希望の方は 
担当・岡田(toshiko_english※xf7.so-net.ne.jp ※を@に変換)又はメッセンジャーにてご連絡お願いします。

参考情報
育てる会のfacebookー>こちら

2021年9月6日月曜日

【お知らせ】ニュースレター第4号の発行(2021.9.6)

市民が育てるチェルノブイリ法日本版の会では、全国各地の会員の日々の取り組み、活動を随時、ニュースレターにして発行、賛助会員その他支援者の皆さんに配布しています。

これまでの第1号の紹介->こちら
       第2号の紹介->こちら
       第3号の紹介->こちら

以下は去る7月24日に行われた第4回総会後の最初のニュースレター第4号(2021年9月発行)です。そのPDFは->ちら

このニュースレターを周りのに配布、拡散したいとご希望の方は以下までご連絡下さい。
電話  090-8494-3856(岡田)
メール toshiko_english*xf7.so-net.ne.jp(*を
@に置き換え下さい













 

2021年8月25日水曜日

【報告】7月24日、第4回総会の「1年を振り返って(311から10年経過した今なぜ、チェルノブイリ法日本版なのか? →311後の真空地帯と理不尽が続く限り、抵抗権の行使としてのチェルノブイリ法日本版は存在することをやめない)」

2021年7月24日に、市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会の第4回総会が開かれ、その第2部で、「1年を振り返って」というテーマで共同代表の柳原敏夫が、
311後の真空地帯と理不尽、抵抗権の行使としてのチェルノブイリ法日本版
(ただし、そのあと、表題を以下の通り変更)
311から10年経過した今なぜ、チェルノブイリ法日本版なのか? →311後の真空地帯と理不尽が続く限り、抵抗権の行使としてのチェルノブイリ法日本版は存在 することをやめない。
という表題で話をし、そのあと意見交換をしました。

以下は、この話の動画、事前に配布したレジメと話で使用したパワーポイントの資料(なお、話の後で未完の部分を加筆したもの)です。

動画



配布資料(レジメ) 全文のPDF->こちら




パワーポイントの資料  全文のPDF->こちら


 

2021年8月10日火曜日

【参考】「チェルノブイリ法日本版」伊勢市条例(柳原案バージョン2) (2021.2.7)

以下は、柳原敏夫がチェルノブイリ法日本版条例のモデル案について、1つの草案として作成したもの(バージョン2)です。参考として紹介させて頂きました。

   *********************

 217年10日、チェルノブイリ法日本版条例のモデル案(柳原)の版(バージョン については->こちら

以下は、今、「市民が育てるチェルノブイリ法日本版の会で検討しているチェルノブイリ法日本版条例のモデル案について、1つの草案です。初版で予告したとおり、このたび、第2版にバージョンアップしたので、これを公表します。

第2版に関して作成した文書の一覧(目次)は->こちら
そのPDFは
->こちら)。下線部分が改訂箇所です。
・改訂箇所がどこかは->こちら改訂理由についての解説は->こちらまで。
・改訂の全文は->こちら

なお、ここでは条例のイメージを実感してもらうため、「伊勢市」という具体的な自治体の名前を出しましたが、皆さんが参考にする時には、自身が住む市町村の名前に置き換えて下さい。

以上、まだ私案ですが、皆さんの参考にしていただけたら幸いです。

                                                        柳原 敏夫
なお、その解説も できるだけ早期にアップします

  【チェルノブイリ法日本版】伊勢市条例案(柳原案)の解説(準備中).

   ************************

               【チェルノブイリ法日本版】伊勢市条例(柳原案バージョン2)

                                                【前 文】

伊勢市民は、全世界の市民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに健やかに生存する権利を有することを確認し、なにびとといえども、原子力発電所事故に代表される放射能災害から命と健康と生活が保障される権利をあることをここに宣言し、この条例を制定する。

他方、原子力発電所等の設置を認可した国は、放射能災害に対して無条件で加害責任を免れず、住民が放射能災害により受けた被害を補償する責任のみならず住民の「移住の権利」の実現を履行する責任を有すると確信する。その結果、この条例の実施により伊勢市が出費する経費は本来国が負担すべきものであり、この点を明らかにするため、国は、すみやかに地方財政法10条17号、同法28号に準ずる法改正を行なう責務を有すると確信する。

加えて、放射能災害に対して無条件の加害責任を負う国は、事故が発生した原子力発電所等の収束に従事する作業員に対しても、放射能災害により被害を被った住民と同様、当該作業員が放射能災害により受けた被害を補償する責任のみならず当該作業員の命・健康を保全する責任を有すると確信する。

もっとも、今日の原子力発電所事故の巨大な破壊力を考えれば、この条例の制定だけで放射能災害から伊勢市民の命と健康と生活を保障することが不可能であることを認めざるを得ない。したがって、私たちは、三重県の自治体、さらには日本の全自治体に対して、各自治体の住民の名において、この条例と同様の条例を制定すること、さらにはこれらの条例の集大成として、日本国民の名において同様の日本国法律を制定することを呼びかける。

さらに、原子力発電所事故が国境なき過酷事故であることを考えれば、わが国の法律の制定だけで放射能災害から日本国民の命と健康と生活を完全に保障することが困難であることも認めざるを得ない。したがって、私たちは、この条例制定を日本のみならず、全世界の自治体、各国に対して、原子力発電所を有する世界の住民の命と健康と生活が保障する自治体の条例、法律の制定を呼びかける。

この呼びかけが放射能災害から全世界の市民の命と健康と生活を保障する条約を成立させるための基盤となることを確信する。
伊勢市民は市の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

                    第1章 総則

第1条 (条例の目的)
この条例は、原発事故その他の放射能災害の発生から伊勢市の住民及び事故収束作業員の命、健康及び暮らしを守ることを目的とする。

第2条 (定義)
この条例において、次の各号に掲げる用語の定義は当該各号に定めるところによる。
「放射能災害」とは、原子力発電所事故など、放射性物質が施設外に大量に放出される事故
をいう。
「事業者」とは、原子力発電所等を所有し、放射能災害を発生させた事業者をいう。
③「放射能汚染区域」とは、放射能災害で放出された放射性物質により汚染された区域のことをいい、その区分は第8条に定めるものとする。
④「汚染区域住民」とは、放射能汚染区域に住居を定め、居住する市民をいう。
「事故収束作業員」とは、被ばくする場所で、放射能災害の収束に関わるあらゆる作業に従事する者をいい、その具体的な内容は第9条に定めるものとする。
⑥「放射能災害被災者」とは、放射能災害発生時に伊勢市に住民票を有し、放射能汚染区域に住む住民及び放射能災害発生時に伊勢市に住民票を有する事故収束作業員をいう。
⑦「移住の権利」とは、移住権利区域に居住する住民が有する第11条第2項に定める被ばくにより発生した損害賠償及び社会的支援を受ける権利をいう。

「残留の権利」とは、移住権利区域に居住する住民が有する、第12条第1項に定める被ばくにより発生した損害賠償及び社会的支援を受ける権利をいう。

「安全の権利」とは、放射能管理強化利区域に居住する住民が有する、第13条に定める社会的支援を受ける権利をいう。
⑩「避難の権利」とは、放射能災害発生直後の緊急避難
(帰還を前提とする一時的な移転を意味する)に関して、移住権利区域に居住する住民が有する、第14条に定める社会的支援を受ける権利をいう。
⑪「生存の権利」とは、放射能災害発生時に伊勢市に住民票を有する事故収束作業員が有する、第15条に定める被ばくにより発生した損害賠償及び社会的支援を受ける権利をいう。
事故周辺区域とは、放射能災害発生の周辺区域で、事故発生後速やかに区域の範囲を規則で特定するものをいう。

第3条(基本理念)
放射能災害被災者となった伊勢市の市民は、移住の権利、残留の権利、安全の権利、避難の権利および生存の権利を有する

第4条(救済の差別的取扱いの禁止)
法の下の平等を定めた憲法14条を踏まえ、放射能災害から人々の命と健康を救済するにあたっては、伊勢市の市民はひとしく扱われなければならない。

第5条 (影響を受けやすい人への配慮)
放射能災害から人々の命と健康を救済するにあたっては、放射能による影響を受けやすい胎児、子どもの命・健康が守られることを配慮して行われなければならない。

第6条 (予防的取組方法)
放射能災害から人々の命と健康を救済するにあたっては、1992年のリオデジャネイロ宣言を踏まえ、完全な科学的証拠が欠如していることをもって対策を延期する理由とはせず、科学的知見の充実に努めながら対策を講じる方法(予防的取組方法)にのっとり、適切におこなわれなければならない。

第7条 (すべての関係者の参加)
放射能災害が国難であることを踏まえ、放射能災害から人々の命と健康を救済するにあたっては、放射能災害に係るすべての関係者による積極的な参加のもとに行われなければならない。
 
第8条 (放射能汚染区域の区分)
放射能災害発生後いつの時点かを問わず、追加被ばく量(外部被ばくと内部被ばくの合計)の値または土壌汚染の3種類の値のいずれが以下に定める値を該当した放射能汚染区域を以下の定めに従い区分する。

区分
区分名
土壌汚染密度(kBq/m2
年間追加被ばく量
mSv/年
セシウム137
ストロンチウム90
プルトニウム
移住義務区域
国の定めるものに拠る。
移住権利区域
185以上
5.55以上
0.37以上
1以上
放射能管理強化区域
37~185
0.74~5.55
0.185~0.37
0.5以上

第9条 (事故収束作業員)
1 事故収束作業員は次の各号のいずれかに該当する者をいう
①.事故収束作業員として従事した結果、健康被害が発生し、当該被害と収束作業との因果関係が確定した者。
②.従事の時期が次の場合に応じて、事故周辺区域で以下に定める作業日数を満たす者。
放射能災害発生後3ヶ月間までの間:作業日数を問わない。
放射能災害発生4ヶ月後から1年経過するまでの間:5日以上作業に携わった者。
放射能災害発生1年後から2年経過するまでの間:14日以上作業に携わった者。
③.従事の時期が次の場合に応じて、事故周辺区域で以下に定める作業日数を満たす者。
放射能災害発生4ヶ月後から1年経過するまでの間:1~4日作業に携わった者。
放射能災害発生1年後から2年経過するまでの間:13日以下作業に携わった者。
放射能災害発生2年後から4年経過するまでの間:30日以上作業に携わった者。
2 放射能災害発生から一定年数が経過するまでの間、住民設備建物の除染作業に14日以上携わった者は第1項3号の事故収束作業員とする。一定年数の数は事故発生後速やかに規則で特定する。

                   第2章 放射能災害被災者の権利
 
第10条 (総論)
1 放射能災害発生時に伊勢市に住民票を有し、移住権利区域に住む住民は、汚染状況及び被ばくによる健康影響について国及び伊勢市から与えられた情報に基づいて、当該区域に住み続けるかそれとも移住(帰還を前提としない移転)するかを自ら決定する権利を有する。
2 第1項の場合において、移住を選択した住民は、第11条に定める移住の権利を有する。

3 第1項の場合において、残留を選択した住民は、第12条に定める残留の権利を有する。

4 放射能災害発生時に伊勢市に住民票を有し、放射能管理強化区域に住む住民は、第13条に定める安全の権利を有する。


第11条 (住民が移住を選択した場合の権利)
1 第10条の場合において、住民が移住を選択するにあたっては、次の条件を満たすことが必要である。
①.移住について、未成年者を除き、世帯全員が同意すること。
②.移住先が第8条に定める区分1から3の「放射能汚染区域」でないこと。
2、第10条の場合において、移住を選択した住民は以下の権利を有する。その詳細は規則で定める。
①.引越し費用の支給
②.移住先での住宅確保・就労支援
③.移住元の不動産・家財・汚染した生産物(魚も含む)の損失補償
④.医療品の無料支給
⑤.健康診断・保養費用の7割支給
⑥.被災者手帳の交付
⑦.年金の優遇
3 前項の権利は特段の理由がない限り、1回の移住にしか適用されない。

第12条 (住民が残留を選択した場合の権利)
1 第10条の場合において、残留を選択した住民は以下の権利を有する。その詳細は規則で定める。
①.治療の無料化
②.医療品の無料支給
③.健康診断・保養費用の7割支給
④.汚染した生産物(魚も含む)の損失補償その他の生活支援
⑤.被災者手帳の交付
⑥.「放射能食品管理課」等必要な部署を設け、放射能による食物・水道水の汚染を検査し、無用な被ばくをさせない。
⑦.年金の優遇
2 第1項の残留を選択した住民がのちに移住を選択する場合には第11条が適用される。

第13条 (放射能管理強化区域に住む住民の権利)
放射能災害発生時に伊勢市に住民票を有し、伊勢市の放射能管理強化区域に住む住民は、以下の権利を有する。その詳細は規則で定める。
①.医療品の無料支給
②.健康診断・保養費用の5割支給
③.被災者手帳の交付
④.「放射能食品管理課」等を設け、放射能による食物・水道水の汚染を検査し、無用な被ばくをさせない。
⑤.年金の優遇

第14条 (放射能災害発生直後の住民の権利)
1 伊勢市は放射能災害発生と同時に、予め編成した緊急事態対策課及び有識者による緊急事態判定委員会を直ちに始動させ、同委員会に速やかに本条第2項に定める判定を行なわせるものとする。

2 第1項の場合において、緊急事態判定委員会が国及び伊勢市から与えられた情報に基づいて、伊勢市の全域または一部が第8条に定める移住権利区域に該当すると判定した場合、当該区域に住む住民は、以下に定めるほか避難に必要な措置を求める権利を有する。その詳細は規則で定める。
①.自身とペット(事前登録要)に安定ヨウ素剤の事前配布
②.緊急時の放射能影響予測ネットワークシステムの情報提供

③.バス等の移動手段の提供

④.防護用マスク、カッパなど防護装備の提供

⑤.避難先の住居・食料・衣類・薬の提供
3 (削除)

第15条 (事故収束作業員の権利
放射能災害発生時に伊勢市に住民票を有する事故収束作業員は、以下の権利を有する。その詳細は規則で定める。
①.医療品の無料支給
②.健康診断・保養費用の減免
③.住環境の改善・支援
④.公共料金・公共交通機関の減額
⑤.有給休暇・解雇・異動時の優遇
⑥.被災者手帳の交付
⑦.年金の優遇

第16条 (予算措置)
次の2案を併記する。
(第1案)
1 この条例の実施により伊勢市が経費を出費した場合、伊勢市は、放射能災害発生の原因となった原子力発電所等の設置者及び設置許可したに対して、当該経費の求償権を有する。
2 伊勢市は、この条例の実施により伊勢市が出費する経費に充てるため、前項に定める原子力発電所等の設置者及び設置許可したに対して、法定外目的税を課するものとする。その詳細は別途条例で定める。

(第2案)
1 この条例の実施により伊勢市が経費を出費した場合、伊勢市は、放射能
災害発生の原因となった原子力発電所等の設置者、設置許可した国及び設置に同意した者に対して、当該経費の求償権を有する。
2 伊勢市は、この条例の実施により伊勢市が出費する経費に充てるため、前項に定める原子力発電所等の設置者
、設置許可した及び設置に同意した者に対して、法定外目的税を課するものとする。その詳細は別途条例で定める。

第17条 (汚染状況の測定及び公表)
 伊勢市は、放射能災害が長期にわたるカタストロフィーであることにかんがみ、正確な汚染状況を把握するため常時、汚染の測定に努め、測定結果を直ちに市民に公表する。

第18条 (委任)
この条例に定めるもののほか、この条例の実施について必要な事項は、規則で定める。

附 則
(施行期日)
1 この条例は、   年  月  日から施行する。




 

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