市民が育てるチェルノブイリ法日本版の会では、全国各地の会員の日々の取り組み、活動を随時、ニュースレターにして発行、賛助会員その他支援者の皆さんに配布しています。
PDF 版はこちらから
※このニュースレターを周りの人に配布、拡散したいとご希望の方は以下までご連絡下さい。
電話 090-8494-3856(岡田)
メール toshiko_english*xf7.so-net.ne.jp(*を@に置き換え下さい)
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市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会では、2022年10月15日、白石草さん(OurPlanet-TV)を招いて、オンラインイベントを行いました。
当日のイベント動画です。
2022年8月7日、コロナ禍のため中断を余儀なくされていた市民立法「チェルノブイリ法日本版」学習会を、2年半ぶりに、「あかいわエコメッセ」主催で、岡山県赤磐市の赤磐市中央図書館 多目的ホールでやりました。
また、その帰りに、3箇所で行き先の人たちと意見交換をしました(詳細は末尾に)
「当日は、大変心打たれるお話を拝聴しました。ありがとうございます。
あの後、子供連れのお母さんが新聞記事を食い入るように読んでいらっしゃった姿にも、
何か動き出さざるを得ない気持ちになりました。
しかしながら、遠方でもあり、時間の制限もまだあるので、
些少ではありますが、財政的な支援でお役には立てればと思い、
賛助会員として貴団体に参加させていただきます。」
◆動画
「暗い時代の次に来るもの」(その1)
講師柳原の話
「暗い時代の次に来るもの」(その2)
質疑応答1(ただし、4分弱)
「暗い時代の次に来るもの」(その3)
質疑応答2
【帰り道の意見交換】
1、兵庫県加古川市
8月8日午前、兵庫県加古川市の議員会館で、3人の市議の方とチェルノブイリ法日本版について意見交換をしました。
◆動画
プレゼン資料1(全文のPDFは->こちら)
原発事故被害者の完全救済は、原発が稼働する国に生きる私たち大人の責務ではないでしょうか? けれど現実には、福島原発事故の被害者はほんとうに酷い扱いを受けています。
原発事故被害者の現実から
事故が起きて、広い土地が放射能で汚染されました。本来なら法律で定めた被曝限度を超える地域の全ての住民を避難させなければならないはずでした。しかし、政府は年間の被曝限度を法令に違反して20倍もひきあげて、多くの住民を居住できないはずの汚染地帯・被曝地帯に置き去りにしたのです。
一部の地域では避難させましたが、数年後にはその避難指示さえも次々と取り消して、賠償も打ち切りました。汚染地域に人びとをむりやりもどそうとしているのです。
避難指示がなく放置された人びとは、自力で避難せざるをえませんでした。無償の住宅提供がこれら自力避難者への数少ない支援策でしたが、これも2017年に打ち切られてしまいました。
避難したくてもさまざまな理由で避難できなかった人びともいます。
「支援対象地域」とされる福島県内の浜通り・中通りの33市町村では全世帯対象に見舞金程度の額が与えられただけ。移住したことで補償がなされたのではないのです。同程度の汚染があった東北・関東など、福島県以外の避難移住者は、まったくの無補償です。
この国には、原発事故被害者を救済する仕組みがない。つまりそれを定めた法制度が確立していないのです。
チェルノブイリ法とは何か
この冷酷な日本の現状とは逆に、海外には国家に原発事故被害者を守らせる法律があります。
ベラルーシ、ロシア、ウクライナ、つまりチェルノブイリ原発事故当事国が1991年につくったチェルノブイリ法(文中、チェル法との略称も)です。
この法律は、被害の補償は国家の責任であること、そして避難移住の権利があることを明記しました。そして事故処理作業者も、汚染地域の避難者も残留者も、事故時の胎児をも含む被害者の救済を国に義務付けたのです。
同法は、年間被ばく限度1ミリシーベルト(1mSv)という国際基準で住民を被曝から守ります。5mSv以上の汚染ゾーンの住民には移住義務が課され、引越し、住居、仕事、医療がなど補償されます。1mSv〜5mSvの住民は、住むことを希望しても、移住を希望しても、どちらもがその権利を認められ、国からの補償と支援を受けます。権利と補償は一体です。ところが、日本では「被害地住民の避難、移住、居住、帰還の権利を認めろ」との人びとの要求は、原発推進を優先する政府によって完全に無視され、無権利のまま「棄民」状態です。
日本より貧しいはずのベラルーシやウクライナでさえ、この法律にしたがって原発事故の被害者を守ろうと努力をかさねています。日本でできないはずはありません。苦しんでいる被害者に対して、そして、せまりくる原発事故と核廃棄物による災厄に備えて、大人として今できる責任を果すべきではないでしょうか。チェル法日本版が必要です。
市民立法……日本版をどう作るか
誰がチェル法日本版を作るのか。確かに法律を作るのは国会の仕事であり、最終的には日本版も国会で決議されねばなりません。しかし、「さあ、これからチェル法日本版を作るぞ」と決意したとき、あなたなら次の一歩をどう踏み出しますか。日本版の考え方は、政党や国会議員と国法を制定するのは最終段階として、「まず、あなたの地元で、顔の見える関わりの中で、市民の手で条例を作りましょう」というものです。つまり、まず全国各地の市町村や都道府県で「チェルノブイリ法日本版条例」を作り、その結果として国法化するという道筋です。
このようにして成立したのが「情報公開法」でした。1982年に最初の情報公開条例が山形県金山町で制定され、これが全国に広がって、99年に法制定となったのです。
この「条例から国法へ」の市民主体の法律制定を「市民立法」という言葉で表現しています。市民立法とは、「チェル法日本版は、私たちが作りました」と市民の誰もが胸を張って言える歴史的アクションのことだと考えています。共に歴史をつくりましょう。
子ども被災者支援法を守らせるべきでは
日本版の提起を聞いて「すでに支援法があるではないか」と思われたかもしれません。
子ども被災者支援法は、原発事故の被災者の生活を守り支える法律として、福島事故後の2012年、議員立法により全会一致で成立。基本理念で、居住・移住・帰還いずれの選択でも支援し、健康不安の解消に努めるとしました。けれども理念のみが書かれているだけで、具体的な政策の決定を行政府に委ねる法律であったため、役人の手によって日の目を見ないまま廃止同然となりました。
条文を読めば分かることですが、「避難する権利」との文字がないどころか、法のどこにも「権利」の文字さえありません。チェル法のような被曝線量や放射性物質量の基準値も書いてない。そもそも国家責任の条文もなく「社会的責任」という曖昧な表現があるだけです。
支援法はチェル法から乖離し過ぎて「法の実行」をしても力になりませんし、「法の改正」は実質的には新法を作るのと同じこと。ならば私たちにできる「市民立法」による新法制定こそ現実的な道ではないでしょうか。
日本版条例運動へのお誘い
3.11直後から「日本版チェル法を」という声は全国で上がりました。そして「子ども被災者支援法」が成立したとき、声をあげていた市民たちも心から喜びました。ただ残念ながら、既述のように感激はすぐに色あせる結果となったのです。市民たちは、そうなってしまった理由を調べ、上記のような法的欠陥の発見に至りました。そして、もう一度原点に戻って、被害者の人権を守るチェル法の理念と具体性に学んで、新たな法を創り出そうと考えたのでした。
2018年、各地の市民が連絡を取り合って「市民が育てる『チェルノブイリ法日本版』の会」を立ち上げました。会と同名のブログを見ていただければ、その主張や歩みを確認いただけますし、講演会の録画など学習資料も満載です。キーワード「チェルノブイリ法日本版 伊勢市条例」で検索すれば条例モデルを見ることができます。ニューズレターのバックナンバーもお読みください。発行されたチラシもアップしてあります。
みなさん、どうか私たちの仲間になってください。まずは「育てる会」の賛助会員になってください。チラシやニューズレターをお送りします。チェルノブイリ法日本版条例から国法への道で、何ができるかを一緒に考え、一歩でも前に踏み出しませんか。
原発が動く限り事故は避けられません。たとえ原発を廃止しても、核廃棄物による災害リスクは永遠に続きます。被害にすぐ対処できて被害者を確実に救済できる人権法を共に一刻も早く実現しましょう。
市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会
協同代表 柴原洋一
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