先月27日の総会でも報告しましたとおり(>総会報告)、市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会のメンバー2人が編集したブックレット「わたしたちは見ているーー原発事故の落とし前のつけ方をーー」(以下が表紙)が今月5月25日に新曜社(>HP)から発売されます。
今年4月、育てる会設立7年目を迎えた「日本版の会」の振り返りと未来への展望が詰まった書籍です。
以下、編集者のコメント(つぶやき)とブックレットの目次(一部、立ち読み可)を載せました。
このブックレットは、一方で、311で未曾有の天災と人災に見舞われた日本社会、その中から見せかけとはちがう、真の復興を発見したいと願っている人に向けて書かれたものです。
他方で、311後の日本社会で普通に生きられると思っている人に、これを読み「頭の中がグジャグジャになって」欲しいと思って書かれたものです。
そのような願いを抱いている方や「頭の中がグジャグジャになること」を恐れない方が一度手にとって頂けたら幸いです(以下の目次の一部で立ち読みできます)。
なお、ブックレットに書かれた内容は各執筆者自身の判断と責任で書かれたもので、「日本版の会」の公式見解ではありません。
新曜社のホームページ:ブックレットの紹介
ブックレットのチラシをダウンロード
最初、私はブックレット編集に乗り気でなかった。311後の日本社会ーーそれは見えない暗黒社会ーーという壁に負け犬の遠吠えをしているだけとしか思えなかったから。しかしいざ始めてみると、思っても見ない事態に遭遇しました。311後の見えない暗黒の日本社会に風穴を開ける光が見えてきたからです。一言でそれは「市民運動の脱政治」、そして「政治運動から人権運動へのシフト」、そしてそれは「民主主義の永久革命」の民主主義から政治をいわば色抜きし削ぎ落とした「人権の永久革命」。
他方で、日本では人権が根付かないという積年の課題があることも承知していました。だから、このブックレットは「認識において、悲観主義」で書かれています。だが、私たちはその認識にとどまらない。そこから実行に踏み出す、「意志において、楽観主義」として、今回のブックレット編集という実践で「一寸先は闇」の経験をして、その闇の中から光と出会ったように。
そして、ささやかでもこの楽観主義の勝利を経験できたのは、ひとえに同じ編集者の小川晃弘さんのおかげです、そして、1年前、不幸にして先立った、私と同学年で私にとっての朋輩、坂本龍一の見えない激励のおかげです(>坂本龍一 その可能性の中心)。
その意味で、このブックレットは市民が自分たちの命、健康、暮しを誰かの手に委ねるのではなく、自分自身の手で統治するという「市民の自己統治」=自己実現(とりもなおさずそれが自己決定=人権の実現)、その可能性の中心を追求した書物です。それが「政治運動から人権運動へのシフト」「人権の永久革命」という意味です。 (2024.5.2.柳原敏夫)
このブックレットは、 ここ数年間の本会正会員のメーリングリストや学習会での議論を編集して作成しました。中心となるメッセージは、原発事故の問題について、新しい解き方を提示したことだと思います。原発を推進する、原発に反対する、そんな二項対立を超えて、原発事故へのアプローチを、「人権」をキーワードに考えることを提案しています。「人権」というと、難しく考えてしまうかもしれませんが、このブックレットでは、「自分の命を守る権利」、そして「他の人の命も等しく守る権利」と、分かりやすく定義しています。新しい解法に興味のある方、このブックレットをぜひ手に取ってみてくだい。
(2024.5.29 小川晃弘)
◆目次
はじめに
生き直す-原発事故後の社会を生き直す- 柳原 敏夫
コラム 一般市民が法令の定めを超えて被曝させられる謂れはない 小出 裕章
第1章:なぜ「チェルノブイリ法日本版」が必要なのでしょうか
「チェルノブイリ法」とは?
なぜ「日本版」が必要だと考えるのでしょうか
万が一の際、すべての人を救う救済法を作りたい
憲法9条と「チェルノブイリ法」
「チェルノブイリ法日本版」制定の目的は人権保障
コラム 「チェルノブイリ法日本版」を作っていきませんか? わかな
第2章:「人権」を取り戻すための「チェルノブイリ法日本版」
放射能災害に対する対策は311前も後も完全に「ノールール」状態
被災者の「人権」を法に定めると国家に責任と義務が生じる
「人権」は一瞬たりとも途切れることがない
国際人権法・社会権規約を直接適用する
国際人権法にある「人民の自決の権利」
国際人権法が311後の日本社会を変える
コラム ぼくが「チェルノブイリ法日本版」を希う理由 柴原 洋一
第3章:私たちのビジョンー「チェルノブイリ法日本版」は日本社会に何をもたらすのか
理不尽に屈しない
自分のいのちの主人公になる
まず「逃げる」こと
<実践への手引き> 「市民放射能測定システム」の立ち上げ 大庭 有二
<実践への手引き> 安定ヨウ素剤を備えること 牛山 元美
市民参加型の公共事業を創設する
コラム 「チェルノブイリ法日本版」がないための苦しみ 遠藤 のぶ子
第4章:どう実現させるのかー市民立法を目指す
新しい酒(「チェルノブイリ法日本版」)は新しい革袋(市民立法)に盛れ
<実践への手引き> 署名を集める 酒田 雅人
「市民が育てる『チェルノブイリ法日本版』の会」の結成
<実践への手引き> 仲間を見つける 岡田 俊子
東京・杉並で始まった水爆禁止署名運動に学ぶ
「情報公開法」制定の経験に学ぶ
ICANの経験に学ぶ
「生ける法」―市民立法のエッセンス
コラム 希望として「チェルノブイリ法日本版」 小川 晃弘
第5章:「命を守る未来の話」―ティティラットさんに聞く
あとがき 柳原 敏夫
「チェルノブイリ法日本版」条例案のサンプル
編集にあたり
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