市民が育てる「チェルノブイリ法日本版」の会の基本情報

2017年12月19日火曜日

【お知らせ】2月25日、光塾講演会(後半)「さよなら孤独、気立てのよい喜怒哀楽の法、チェルノブイリ法日本版制定への道」

※ 講演会のチラシができました。-> 表面  裏面


2月25日(日)13:30から、渋谷の光塾で、以下の2人の講演会を行います。
皆さんの参加をお待ちします。

前半
◆◆「臨床医が語る、原発事故からの7年 ―子どもの甲状腺がんは?健康被害は?」◆◆
 
 牛山元美さん(さがみ生協病院 内科部長 3.11甲状腺がん子ども基金 顧問)
 
 
 
 ●牛山さんからのメッセージ:
原発事故後、子どもが通う神奈川県の小学校の放射能汚染の現実を知ったことから、被ばくについての勉強を始めました。福島の方々の声を聴き、子ども・若年者の甲状腺がんにまつわるさまざまな問題を知る中で、放射能汚染や被ばくによる健康障害を軽視する奇妙な社会に気づきました。臨床医として、当然ながら健康や命を大切にする社会を願い、そのために、私が入手・理解できた情報をたくさんの方にお伝えしたいと思っています。

 後半
◆◆「さよなら孤独、気立てのよい喜怒哀楽の法、チェルノブイリ法日本版制定への道」 ◆◆
  
 ●柳原敏夫(ふくしま集団疎開裁判 元弁護団長)

  水の連帯(2016年8月カナダ・モントリオールで開催された「世界社会フォーラム」に集まった世界市民)
柳原からのメッセージ:
 福島原発事故は二度発生しました。一度目は原発の中で偶然と技術の未熟さから、二度目は私達の社会の中で確信と世論操作によって。いま私達を最も苦しめているのは二度目の事故です。その結果、汚染地の子供達は「見えない収容所」に閉じ込められました。これは国際法に照らし「人道に対する罪」に該当する、戦後日本史上最悪の人権侵害です。これをただすことは先に死んでいく大人の責任です。それが12月16日に急逝した早坂暁の遺言「水でつながり、気立てのよい喜怒哀楽の法、チェルノブイリ法日本版を地上に残したい」()です。

 日時:2018年2月25日(日) 13:30~ (開場13:00) 
 会場:光塾 ->(公式サイト)   東京都渋谷区渋谷3-27-15 光和ビル地下1階 (JR渋谷駅新南口すぐ マクドナルド向かい->地図)    TEL 090-8494-3856(岡田)
 資料代:500円
 主催:脱被ばく実現ネット(旧ふくしま集団疎開裁判の会)


当時海軍兵学校の生徒だった15歳の早坂暁は、原発投下直後に広島入りをし、「地球の終末の光景、世界の臨終の景色」を見た。のちに当時の生徒が集まると、最後は決まってあの光景の話になった。

「おい、あの時、赤ン坊が泣いていなかったか」
「赤ん坊?」
「確かに、聞こえたんだ。赤ン坊の泣き声がしていた」
「まさか‥‥」
あの雨の降る廃墟の中で、赤ン坊が棄てられて泣いている光景は、たまらない。
「いや、棄てられた赤ン坊じゃない。母親が抱いている赤ん坊だ。あの廃墟の中に住んでいた人たちだって、いたんだろう」
「うん、そうかも知れんな」
「確かに、赤ン坊の泣き声がした。ぼくはこの耳で聞いたんだよ」
「‥‥そう言えば、 おれも聞いたような気がする」
38年前の記憶はダリの時計のように溶けてしまっている。しかし、私たちは、赤ン坊の泣き声を懸命に思い出そうとしていた。あの光景の中で、もし赤ン坊の泣き声が聞こえていたら--救われる。
「いや、おれも確かに聞いた。忘れてしまっていたが、今思い出した」
暗い思いにとりつかれると言っていた医者が一番強く主張しはじめた。
 「‥‥ああ、赤ン坊が泣いていたな」

 あの時の、あの赤ン坊が夢千代である。
                                (「夢千代日記」のあとがき)

 それから56年後に
発生した福島原発事故の時にも、廃墟の中で赤ン坊の泣き声がした。しかし、人々は目の前の未曾有の出来事に翻弄され、目を奪われ、赤ン坊の泣き声のことを忘れてしまった。そして、暗い思いにとりつかれた。しかし、赤ン坊は廃墟の中で棄てられてはいなかった。お母さんがしっかり抱いていた。だから、耳をすませば、赤ン坊の声が今も聞こえて来るはずだ。
もし耳をすました人が、
「確かに、赤ン坊の泣き声がした。ぼくはこの耳で聞いたんだよ」
と言ったら、ほかの人たちもきっと赤ン坊の泣き声を懸命に思い出そうとするだろう。あの光景の中で、もし赤ン坊の泣き声が聞こえていたら--救われる。

 あの時の、あの赤ン坊がチェルノブイリ法日本版である。それが早坂暁が大人に残した遺言です。 


同時に、早坂暁は、どうしたら私たち大人が、あの赤ン坊の泣き声に応えることができるようになるのか、これを考え続け、次のようなビジョンに到達しました。それが、
気立てのよい人間たちによる水の連帯で、気立てのよい法律を作ること。

これについてズケズケ語ったのが、1990年の岩波ブックレット「恐ろしい時代の幕あけ」です。


◎気立てのいい人
21世紀になったときにいちばん貴重で、尊重される人は誰か。それは、気立てのいい人です。気立てのいい人が宝になります。頭のいいのはいっぱいいます。そんなんもはコンピュータが代わりをしてくれます。ぜったいにこれから大事になってくるのは、(コンピュータには代わりができない)気立てのいい人です。人間関係をうまく処理できて、相手のことを考えて優しい人。ですから、今こそ気立て大学というのがあってもいいわけです。
では、気立てがいいとはどういうことか。平たく、具体的にいいますと、情けですね。情けがわかることです。情けなんていうと非常に古くさい言葉ですが、、相手側の視点がわかるということです。切り返しの視点を持っているということです。  
向こうから見たらどうみえるのか。映像的にいえば、二台のカメラを持っているのが気立てだと思います。つまり殺される側のゴキブリから見た目をイメージできる人が、気立てのいい人です。
(・・・ゴキブリから見た目をイメージできる人なんて、ウーマンラッシュアワーの漫才みたいではないか)
どうかゴキブリから見た目をいぢど想像してほしいのです。相手側のショットがある、向こう側のショットがあるというのが気立てのいい人です。気立ての悪い人はこちら側のショットだけですから、相手の立場とか、そういうのはわからない。相手の痛みが分からない。自分のエゴだけを押している。そういうのが気立ての悪い人だとぼくは思います。》 
(・・・経済復興のショットだけしか言わない人たちは気立ての悪い人たち、その通り!)
向こうのショットがイメージできる。実はそれがほんとに頭のいいことなのですが、いまの頭のよさというのは、記憶や試験の技術であると、そこへ子どもたちを追いこんでいます。
いい大学を出て、いい暮らしを保障されなさいと、親は学校と共謀して子どもたちを気立ての悪い子にしていっているのです。

 ◎水でつながる
これからは血でつながらないほうがいいと思う。血でつながった形は崩壊しつつあるわけですから、今度は水でつながったほうがいい。他人でつながったほうがいいと思います。
・・・でも、みなさん、ぼくなどもそう思うのですが、いま生活しているなかで、血でつながる人たちとは年に数回会うか会わないでかでしょう。大半は他人と暮らしているのです。友だち、仲間、つまり水の関係のひとたちのほうがはるかに濃いのです。ですから、血でつながるということをやめて、もうちょっと水でつながることを大事にしたらいいのではないかと思います。
いや、水っぽいほうがいいのです。血でつながると、恨みとか、愛憎が強く出てきますから、水で繋がったほうが淡白で、さっぱりしていて、いいです。あとくされもないし、要求することも、もたれかかりも少なくなります。
21世紀は、どれだけ上手に水でつながることができるかどうかによって、悲惨な人とうまくいく人とに分かれてくるでしょう。血に執着する人は21世紀でものすごく悲惨になると思います。水の連帯のことを考える人は、わりと21世紀もうまくいくのではないでしょうか。》 
ですから、これからぼくも水ドラマが書きたいです。考えてみるとぼくには水ドラマが多いようです。あまり血でつながるホームドラマは1本しか書いたことがありません。「夢千代日記」なんてぜんぶ水の関係でしょう。ぜんぶ他人同士が集まって暮らしている。ああいうのを水ドラマというのです。
 (・・・水ドラマの古典が「東京物語」だとすれば、近時の傑作は「家族ゲーム
考えてみると、血でつながるから民族が生じ国ができて、国境をつくり、戦争まで起きてしまうわけでしょう。あれが水でつながっていたら戦争は起きない。民族なんていわないほうがいい。人間というだけでいい。
そういうふうに、ちょっと組み合わせを変えていけば、社会は一変するし、もちろん、そうすると学校なども一変する。偏差値などまったく消えてしまいます。早くそういう時代がくればいと思います。
でも、こんなことは実は、親の決心ですぐ決まるのです。親の決心で世の中の眺めは一変するのです。
(・・・そうだ!旧ソ連のチェルノブイリ法の制定も大人の決心次第で、あっという間に実現した。それは、ものすごく遠くて、ありえないほど近いもの)。 

 ◎気立てのよい、喜怒哀楽の法、チェルノブイリ法日本版
では、早坂暁にとって「 気立てのよい、喜怒哀楽の法」とは何でしょうか。
とはいっても、「気立てのいい人」のイメージを彼の代表作「夢千代日記」の夢千代から連想するのは早計です。一方で、彼は、《大学時代に学生運動にかかわり公安当局からマークされ浅草に潜伏中、銭湯で知り合い、何度もプライベート旅行に行くなど親友となった》渥美清に無条件の共感、根本的な同一性を感じる人です。平賀源内が難事件を解決してゆく痛快時代劇「天下御免」、弱い者の恨みを晴らすプロの殺し屋を描いた「必殺からくり人」で本領を発揮した人です。
は、「気立てのいい人」の中に哀だけではなく、怒り、楽しみ、喜びの人間の感情の全てを見出しているのです。
だから、「 気立てのよい法律」とは、人間の喜怒哀楽を全てフォローした法律です。だから、それは、
:命が大切にされることにまさる喜びはない。
:原発を推進してきた国家は原発事故と事故に苦しむ子ども、人々に対し、無条件でこれを贖う責任がある。
:放射能汚染による故郷喪失は換え難い哀しみである。だから、避難者には、避難先で故郷回復権が認められなければならない。
:身体だけでなく、心も楽しみを維持し、大切にされてこそ命がまっとうされる。

「気立てのいい人」が喜怒哀楽を備えた人間であるように、「気立てのいい法律」とは、これらの喜怒哀楽を備えた法律のことである。それがチェルノブイリ法日本版です(そのモデルが->チェルノブイリ法日本版・伊勢市条例モデル)。

これが、私にプレゼントされた早坂暁の遺言です。

2017年12月18日月曜日

【お知らせ】2月22日、ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)アドボカシーカフェ第51回「放射能災害から命,健康,くらしを守る――「チェルノブイリ法日本版」を市民立法で」

 ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)主催のアドボカシーカフェ第51回(第1回は2011年7月『原発事故と子どもたち』発言者中手聖一さん)
「放射能災害から命,健康,くらしを守る――「チェルノブイリ法日本版」を市民立法で」
が、来年2月22日、以下の通り開催されます。 
皆さんの参加をお待ちします。

 ***************

 福島原発事故の1ヶ月後、文科省はそれまで 1mSv としていた公衆被ばく限度線量を福島県だけ 20mSv に引 き上げる通知をし、今なおその正当な根拠が示されないままになっています。福島の子どもたちは“見えない放射線”にさらされ、閉じ込められているといえます。これは国際法に照らし「人道に対する罪」に該当する人権侵害であり、児童虐待との受け止め方もあります。これを正すため、福島の子ども14人が2011年6月、「安全な場所で教育を受けさせて!」と裁判所に訴えました(ふくしま集団疎開裁判)。しかし13年4月、仙台高裁は判決で「福島の子どもは危ない。避難するしか手段はない」と認めながらも、「危ないと思った子どもは自分で逃げればよい。被告(郡山市)に避難の責任はない」と訴えを退けました。人権救済の道を閉ざした裁判所に代わり、社会の責任として子どもたちを救済する法制度「チェルノブイリ法日本版」を市民の力で制定する運動を立ち上げ、いま原発の再稼動が始まった日本各地の自治体で条例制定を積み上げようとしています。この市民立法のアクションにみなさんはどう関わりますか。登壇者と対話し一緒に考えてみませんか。 

●登壇:
 ○柳原敏夫さん:
 法律家。専門は知財(著作権->HP「著作権その可能性の中心」)。20世紀末、知財が知罪に変貌したのを受け、命の危機をもたらすバイオ裁判(->HP「禁断の科学裁判」)に転向。3.11まで原発に無知だった無恥を知り、命を救うふくしま集団疎開裁判(->HP)に再転向。以後、脱被ばく問題に取り組む。昨年、2人の子は都内から西へ移住し、現在、妻、母(95歳)、犬(9歳)の4人暮らし。
  
 ○崎山比早子さん:
 医学博士。千葉大学医学部大学院卒。元マサチューセッツ工科大学研究員、元放射線医学総合研究所主任研究官、元国会事故調査員会委員。高木学校、原子力教育を考える会のメンバー、3・11甲状腺がん子ども基金代表理事。

 ○長谷川克己さん:
 福島原発事故当時、福島県郡山市に在住。原発事故の5ヵ月後に妊娠中の妻と5歳の長男を連れて静岡県富士宮市に自主的に避難。避難後、一念発起し起業。平成24年に高齢者のデイサービスセンターうつくしくらぶ、27年に障害児の放課後等デイサービスうつくしくらぶを開設。傍ら、避難当事者として市民運動に参加。


●日時:2018年2月22日(木) 18:30~21:00 (開場18:00) 
●会場:文京シビックセンター 4階  シルバーホール
  東京都文京区春日1-16-21 (丸ノ内線・後楽園駅1分、三田線/大江戸線・春日駅1分) 
●参加費:一般1,000円/学生500円  当日受付にてお支払いください。

●ご案内ページ:http://socialjustice.jp/p/20180222/

●お申し込みページ:https://socialjustice.jp/20180222.html
          事前にお申し込みください。

●主催・お問い合わせ先: 
認定NPO法人まちぽっと ソーシャル・ジャスティス基金(SJF)
〒160-0021 新宿区歌舞伎町2-19-13 ASKビル5F 
メール:  info@socialjustice.jp
電話: 03-5941-7948     FAX: 03-3200-9250
ホームページ: http://www.socialjustice.jp/
Twitter: https://twitter.com/socialjusticef 
Facebook: https://www.facebook.com/socialjusticefundjp 
 
 *************************************
 
以下、チェルノブイリ法日本版制定の市民運動についての基本情報です。

チェルノブイリ法日本版の条例制定を一緒にやりませんか(2017.5)

日本からのメッセージ(2017.6)

中間報告:【チェルノブイリ法日本版】伊勢市条例(柳原案)

【チェルノブイリ法日本版】伊勢市条例案(柳原案)の解説.

なぜ今、チェルノブイリ法日本版条例の制定なのか--チェルノブイリ法日本版その可能性の中心--